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2017年3月6日月曜日

お金の持つ欠点

ブログの更新サボっててすみませんでした。

前回に引き続き今回もお金の話です。予告通りお金の持つ欠点を考えてみたいと思っています。前回の投稿の内容を前提に書くので、まだ読んでいない方がいればぜひ読んでください。

金利


本題に入る前に質問です。金利というシステムはなぜ成り立つのでしょうか?つまり、なぜお金を預けているだけなのに金利がつくのでしょうか。

様々な答えが考えられますが、私の答えは「お金でお金を生む機械を買えるから」です。(この答えは、言葉通りの意味以外にも人を雇うことなど広い意味を含んでいます。)たとえば100円の原材料で200円の製品を作り出す機械を考えてもらうのが一番わかり易いと思います。つまり、お金があればさらにお金を増やせる機会を得ることができるので、金利を払ってでもお金を借りたいと思う人が一定数いて、金利制度が成り立つわけです。

ここまでくると、察しの良い読者の方には私の考える「お金の持つ欠点」が
なにか分かり始めてきたでしょう。そうです、「お金の持つ欠点」は、貧富の差が勝手に拡大する点です。

しかし、前回の投稿をしっかり理解している読者さんの中には論理の穴に気づかれた方もいるかもしれません。気づけなかった人は価値関数について一緒に復習しましょう。

価値関数というものは額面と時間を引数とする関数で、そのお金の持つ本当の価値をもとめる関数$f(x,t)$でした。前回の投稿での議論から、同じ額面をもつ紙幣でも、時間が経つにつれて価値が指数関数的に減少することをしめしました。

ここまでくれば多くの方が論理の穴に気づかれたことでしょう。つまり、金利分による額面増加分は価値関数ですでに考慮されており相殺されるのではないか、ということです。

この指摘に反論するために重要となるキーワードは「シャープレシオ」です。

シャープレシオ


シャープレシオは次の式で表されます。
$$\frac{\text{期待リターン}-\text{リスク無しリターン}}{\text{リスク}}$$
つまりシャープレシオは「1リスクに相当するリターン」です。ファイナンス理論を学んだことのない人からするとリターンが大きければ大きいほどよいと考えてしまいがちですが、実際の投資家はリターンよりこのシャープレシオを基準に投資先を決めます。

シャープレシオが重要視されるのは、リスク回避的な投資家が多いからです。銀行がわかりやすい例です。銀行は口座に預けられたお金を運用して利益をあげていますが、口座内のお金を減らすわけにはいきません。なので、高リターンの投資案件でも、元本割れのリスクが高いものには手を付けないのです。

お金の持つ欠点:貧富の差が拡大すること


シャープレシオの話の裏を返せば、リスクを取れば取るほどより良いリターンを期待できます。なので大富豪のように自由に使えるお金が多ければ多いほど有利であり、金利分の価値減少分を考慮してもなお、指数関数的に価値は増加していくのです。一方、生活費だけで精一杯のひとは、リスクの高い投資をすることができないので価値は増えていきません。こうして貧富の差は拡大していくのです。

まとめ

リスクをとれる大富豪は資産が勝手に増えてゆく一方、リスクを取れない人は資産を増やすことができない。ゆえに貧富の差は拡大していく。

もちろん税金などを活用することで貧富の差を縮小させる試みは行われていますが、お金の持つ欠点の抜本的な解決策とは言えません。次回はこの問題を通貨システムそのものを変えることで解決することを試みます。

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